
「検校」の官(位)を受けて(自宅床の間)
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」 有名なこの一節は誰の口からもすらっと出てくるのではなかろうか。 平家一門の栄枯盛衰物語。 琵琶法師(盲僧)によって、琵琶を奏でながら語った平家物語だ。 それが「平曲」であることまでは筆者も知ってはいた。 その平曲の演奏者が、身近におられることまではつい最近まで知らなかった。 江南市般若町にお住まいの今井勉さん(49歳)がその人である。
今日(平成19年3月15日)、地域ポータルサイトに是非紹介したいと思い、取材させてもらった。
取材を通して多くのことを知ったが、その中から限られたスペースにまとめてみたい。
今井さんは、師匠から弟子へと口伝えで伝承されてきた平曲の演奏家の、現在のところ最後の方のようだ。後継者が出てくれば別だが…。 今井さんの位は、「検校」(ケンギョウ)、最高位とのこと。
仙台市や東京都などに伝承者がおられるようだが、それは、晴眼者で、楽譜によって復曲したものである。元来の口伝えのものとは違うようだ。その意味では、今井さんが、全国でただ一人の琵琶法師と言える。
平曲そのものは200曲あるのだそうだが、そのうち伝承曲は、8曲。それを、今井さんは、師匠から16年かけて習得されたとのこと。
「魅力はなんですか」 返ってきた言葉は、 「いやだと思ったことは一度もない」。 魅力など、言葉では言い表せない、とでもおっしゃりたかったのでは?愚問だった。 そして、こうも付け加えられた。 「一度聴いてもらいたい。平家琵琶がある、そのことを知ってもらいたい」。
言葉では説明できない、平曲そのものを聴いてほしい、とおっしゃる。 自信にあふれた、端的な言葉であった。
「物悲しさと力強さ」 それが平曲の魅力のようだ。 「物悲しさ、それは平家の滅亡。力強さは、合戦」 と付け加えて解説していただいた。
ここまでお話をお聞きすると、無性に本物の平曲が聞いてみたくなった。 そのことをお話したらCDを下さった。CDには、「当道の平家ー名古屋三代の系譜」佐藤正和、三品正保、今井勉と書かれてある。 二人の師匠と今井さんの、3人の平曲が録音されているものである。
最後に琵琶を見せてもらった。 平家琵琶「武蔵野」と言う。 3,400年前のもので、師匠から弟子へと譲り渡されきたものだそうだ。
演奏の写真は、お借りし、スキャナーで撮ったもの。 燕尾帽、白い着物、紫の衣、そして紫の座布団が正式とのこと。 佛教と深い関係があるようだ。
(安藤)
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