「写真」とは何ぞや。“ただの写真”といわゆる“作品としての写真”の違いは何か。デジカメ写真を撮り始めたものの、“ただの写真”ばかりで、いつかはその域を出たいとは思っていた。 その答えが見つかればとの思いで、尾北シニアネットのパソコン講座「上手な写真の撮り方」を受講した。講師は、各務のぼるさん。1回2時間程の7回の講座であった。カメラの操作、撮影の技術等基本の講義、パソコンでの画像加工の仕方の実技指導、撮影実習と講評の三つの内容を7回に分けての学習なので、過密スケジュール。私も都合をつけて5回は参加でき、学習を深めることが出来た。
私が1番勉強になったのは、最終に近い6回目の撮影実習である。 撮影場所は、布袋の街中。課題は、「感じたことを写真にする」であった。ピンボケでも良いが、感じたことをスナップ写真にするように強調された。そして、翌週最後の7回目は、今日撮影した各自の写真をパソコンでスクリーンに投影し、「感じたことを説明すること」と付け加えられた。
当日は雨が降っていた。ISO感度は400が良いだろう。再度上記強調点の説明を受けてそれぞれ思い思いに街中に出た。 傘を差し、カメラを首にぶら下げ、被写体になるものを探して街中を歩いた。本町通りを少し歩いたところで、旧東海銀行前で傘を差して待ち合わせをしているおばあさんが目に留まった。古びたコンクリートのシミと錆びた窓枠。昭和時代は活気のあった銀行も、今は現役を終え、古びた建物。そこが、待ち合わせの場所として今も街の人にとっては生活の場所として生きている。面白い。でも、カメラを向けるには抵抗を感じ、1枚写真を撮らせてほしいと声をかけた。ぱっと傘で顔を隠されてしまった。しばらくして、「1枚だけよ」の意思表示なのか、傘をあげてくれた。 こんな調子で、1時間半ほど、街のあちこちを歩いて何枚か写真を撮った。3枚写真を講師さんに送付することになっていたので、早速帰宅してからパソコンで見た。3枚はこれで行こう、すぐ決まった。感じたことは「3枚とも共通して、“古い町並みの中に現代が息づいている、その生活感”」そんなことを書き添えて提出した。
講座の最終回。各自提出した写真をスクリーンに映し出し、講評があった。なぜか、私がトップバッター。雰囲気が出ている、3枚「組み写真」にすると良い、との全体講評の後、1枚1枚について講評があった。
しばらくしてから古知野本町にあるコミュニティ施設「ふれあいプラザ」に展示し、皆さんに見てもらおうと言うことになった。展示作品の主力は「町並みウォッチング」。私にも、「3枚の組写真で出して頂きたい」と講師さんから声をかけていただいた。自ら進んで出品する気持ちがなかったので、迷ったが、これも勉強と提出することにした。出品する、誰かに見てもらう、こういう機会が写真の上達には欠かせないことを知った。いやがうえにも考えざるを得ないからである。さもなければ撮った写真はそのままお蔵入り。タイトルはどうするのか、組写真とはどう展示するのか等、メールのやり取りを通して講師さんから学んだことを下記にまとめてみた。
組写真とは、3枚を連ねて展示、タイトルは一番左に示し、その写真をその1とし、以下その2、その3とする。タイトルも候補を挙げていただいた。「下町界隈」とすることとした。このタイトルだけで私の感じたことを受け取ってもらえるのか、写真そのものに力がないだけに、ああだ、こうだとそれぞれの写真にサブタイトルを付けてみた。その間メールのやり取りの中でご指導いただいたことを抜粋して下記に掲載させていただく。
組み写真の組み方は色々ありますが大まかに分けるとすれば画像の中に共通するものがあって自分の思いをつたえるもの、もうひとつは別々のものを集めて自分の思いをつたえるものです。 今回は別々のものを集めた後者の方に該当します。
老後をゆったりと暮らしているおばあさん、何処かへお出かけかな。 まだかくしゃくと赤いバイクで町中を乗り回し働き盛りの局員。 今時こんな店にお客があるかな?でも頑張っているおじさん。 どの写真にも物語があり、3枚を集めた時に、人の大きさや構図に適度のばらつきがあり、生活感があります。3枚がとてもバランス良く調和が取れています。
見る人が、自分の思い通りに感じてくれなくても、良いではありませんか、あまり一つの自分の固定観念にはめ込もうとすると写真の広がりもなくなってしまいます。傘をさしたおばあさんを、10人が見れば10人別々の考えを持って当たり前です。 題名は、遠回しの方が奥床しくてどちらにも通用する訳です。
タイトルのつけ方を通してまたまた勉強になった。 写真についても、写真そのものは不出来でも写真から受け取れる感じ方の1例(上記)を示していただいた。撮った方の私の思い、感じたことと一致。これは、初心者への励ましと、さらに撮影現場もご存知だから言ってくださったことではあるが…。
写真とは?今回の学習から私なりにたどり着いた答えはこうだ。 「写真は、詩、ポエム」だ。感じたことが先で、それを同じように見る人に伝えることが出来るか。普通の人なら何気なく通り過ぎてしまうような、ある一瞬をとらえるのが、詩であり、また写真でもあるのではないか。そこに “ただの写真”から“作品としての写真”の違いがでてくるように思う。
(安藤)
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