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76歳のスカイダイビング

生還!
  スカイダイビングをご存知でしょうか。
 高度3〜4,000メートルの飛行機から、横長のパラシュートを使って飛び降りるスポーツです。
  もちろん初心者はインストラクターと一緒に飛びます。ただ、パラシュートも機械のうち。故障したらそれまで・・・

 昨年9月4日の中日新聞朝刊「くらしの作文に」に、およそ、「くらし」とは縁遠い標題の作文が掲載されました。
 あれは私が少々テクニックを使い、文末に「・・・残された時間は短いけれど、元気なうちは目標を定め、前を向いて歩いて行こう・・・」と、書き添えたので採りあげられたのでしょう。

 実行したのは8月8日午前。兵庫県、城崎温泉近くの但馬空港。
 身柄引取り人に女房を同伴しました。雲と青空が半々、微風の気象でした。

 何故こんな無謀なマネをしたのか。 
 その発想は海で生まれました。数年前までスキューバダイビングをしていた時期があり、ある時、海の中は大体判った(?)。空はどうなんだろうとフト思ったのです。1年半前、ネットを検索していて、日本国内でも体験可能なことを知りました。
 俄然 現実味を帯びてきましたが、その年は都合で情報を調べただけで、翌年の目標としました。

 体験条件。
 年齢の上限なし。高血圧、心疾患だめ。前日のアルコール、スキューバダイビングは禁。運動靴着用、服装は問わない。レクチャー15分。全てクリアできるが、いざ予約を入れるとなると心が逡巡、数日間考えて電話し、健康保険証と印鑑を持参するようにと言われてまたドキリ!!

 当日。
 レクチャーは台の上で若い女性スタッフが腹ばいになり、飛び出し、降下、遊泳、着地時の体勢を実演してくれました。着衣の上から飛行服を被りハーネス(バンド)で井桁に締め、インストラクターも同じ格好で結合用の金具が4ヶ所有る。「これ 外れませんか?」と聞いたら1個で何10キロも持つからと平然・・・
 飛行機は3人乗りのガタガタのセスナ。ドアは開け放しだが轟音の割に風は入らない。上昇するのに随分時間がかかった。
 やがてインストラクターが背中に被さりハーネスを結合。開口部に腰をかけて合図を待つ。合図は「レディセットゴー!」(?)です。それがなかなか かからない。眺望の良い雲の切れ間を探しているらしい。しかし小なりといえども飛行機。高度3300メートルで時速は新幹線並みでしょう。その聞口部に腰掛けているわけ。地上では絶対許されない行為だ。この数十秒は緊張でした。
 やっと掛け声!
  両手で胸のハーネスを握り膝を折って頭を上げる「海老反り」が飛び出しの姿勢。直後は上を向いているのか下を向いているのか何も分からない。
 インストラクターが姿勢を正して肩を叩いてくれてから、両腕を前に出し脚を広げる。
 時速250キロで約40秒降下。驚いたのはこの時に感じた空気の存在。真綿のように柔らかく包んでくれるのです。が、地上1200メートルでパラシュートが開くと凄い衝撃でハーネスが肩に食い込み、真綿の空気は一瞬で無くなる。後は10分ほど空中遊泳を楽しんで着地です。
  斜めに接地しインストラクターが脚をついて走り ビジターは両脚を前方に上げておくのですが、大腿部が痙攣し始め、脚を降ろせば怪我する。辛抱々々。健康保険証の意味が判った。停止した時には激痛で身動きも出来ず、無残な姿を写真に撮られてクラブのホームページに載せられました。
 予測から大きく外れたのはこの痙攣だけ。虚空へ跳びだす度胸さえあれば、運動神経も体力も不要の数少ないスポーツです。

 帰宅後。
 所属しているシニアネットにメールを流しました。
 「あなたは勇気が有る」とレスして下さる方が居られましたがそんなもの全然ありません。高速道路は80キロです。
 メールの件名は「ラスト?アドベンチャー スカイダイビング」でした。ラストの?に、まだ諦めてはいないぞとの思いを込めて。新聞投稿の「・・・元気なうちは目標を定め・・・」につながります。

 皆さんにスカイダイビングをお勧めしようとは思いません。事故が起こらない保証はないからです。
 私自身、スキューバダイビングで溺れかけ10日間も入院した実績があります。全ては自己責任。
 カッコウつけたお陰で「次は何をするの」と言われて困っています。これも自己責任?




(斎藤)
いざ出発 飛び出し 空中遊泳