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ゆっくり遍路ひとり旅(7)弘法大師と「同行二人」

脇坂へんろ道頂上にて
 種間寺を打ち、吾南平野をさらに西へむかう。仁淀川大橋を渡ると土佐市。
 仁淀川堤防の道を上流にむかって歩く。高知自動車道の手前で左に折れるのだが、曲がるのが遅すぎたようで、集落の中で道に迷った。

 畑仕事をしていた女性に道をたずね、自動車道脇のレストランで道をたずねて第35番・清滝寺(きよたきじ)にたどり着いたが、老若男女を問わず四国の人たちは遍路にとても親切である。
 弘法大師と「同行二人」だから、遍路に親切にすることは大師に親切にすることと同じという考えがあり、親切にした分だけ大師の徳が自分に返ってくるという教えが生活の中に浸透しているようだった。ありがたいことで感謝するばかりであったが、遍路は親切に感謝しながらもそれに甘えず、身を律して旅することが大事である。

 この日は、娘家族が4名で孫の春休みを利用して娘婿の故郷である土佐市の爺ちゃん宅へ遊びに来ているので一緒する事にした。
 清滝寺で参詣を終えて娘婿の携帯に電話を入れると30分ほどして可愛い孫二人が土佐の爺ちゃんと迎えに駆けつけてくれた。孫たちは江南の爺ちゃんの白衣姿を見て目を白黒させながら跳びついてきた。

 翌朝、雨の中を青龍寺をめざしていると、ポンチョをお借りした杉本さんから携帯に励ましの電話を戴いた・・・ありがたい。
 トンネルの前の峠の休憩所で一服していると高知市在住の岡林さんに会う。雨のため休憩所裏側の遍路道を避け国道をと考えていたのだが、この遍路道は昔から宇佐で取れた鯖を行商の人たちが背負って通った道なので固められてシッカリしており心配ないとの事であったので山越えをする事にした。登りはともかく下りは滑りやすくて怖かったが、山中ではきれいな山つつじが慰めてくれた。
 山越えをし国道に出たところで昼になり、海辺のレストラン「海鮮」で蟹・えび・ホタテの入った豪華海鮮ラーメンをいただいたが、札幌で食したラーメンに勝るとも劣らない美味であった。
 真っ赤に塗られた宇佐大橋を渡る際に夏休みに土佐へ遊びにきた孫たちが、この下のキレイな砂浜で遊んだ話しをしていた事を思い出した。
 青龍寺は、大相撲の横綱朝青龍が明徳技術高校時代、足腰を鍛える為に石段を上り下りしたという寺。その石段は170段あった。こじんまりしているが、古色蒼然として雰囲気のいい寺だ。
 青龍寺から次の第37番・岩本寺までは約60キロメートルで遠い。この日は打戻りで宇佐大橋を渡ってその日宿泊する民宿へ向かったのだが、長い橋の真ん中あたりで急に激しくなった雨と突風でで、雨衣を着けるヒマもなく、ずぶ濡れになってしまった。民宿「さざなみ」に到着したのは午後6時ころ、、、その日同宿する遍路仲間が3人ほど食事をとっていたが、その中にあの堀江さんがニコニコ笑っていた。ズブ濡れになったこともあり、風呂へ先に入らせていただいた後、食事をいただいたのだが、豪勢で食べきれないほどの量であった。

 この民宿の宿泊費は5000円で今回の最安値であった。ここの女将さんの遍路へのお接待の気持ちがありがたい。

 翌朝出立する時には、女将さんが玄関先で手を付き、「お気をつけていってらっしゃい」と言われたのには感動した。脇坂遍路峠越えで前も後にも人が無く震撼とした暗い杉林の中を不安な気持ちを抱きながら1時間半ばかりかけて登りきってホっとしていると、金剛杖の鈴の音が聞こえてきた。もしやと待っているとやはり堀江さんであった。下りは彼と一緒で心強いカギリ、彼の細やかな気配りがうれしかった。

 足元を気をつけながらの下山となった。
(奥村)
青龍寺仁王門 宇佐峠へんろ道 朝青龍が足腰を鍛えた石段